長門有希の暴走

SOS団部室。

「やっほー!ゆきー!」
…って、有希以外誰もいない。それはさておき今日もSOS団の活動開始ね。っていっても最近の活動、ネットサーフィンだけじゃない?まぁ細かい事は気にしちゃダメよ。

カチャカチャ…

…誰も来ないわね。そんな事を思っていたら有希が急に私の方へ近づいてきた。有希が話なんて珍しいわね。
「…涼宮さん」
ん?何?
「…死んで」

…っは?

「だから、死んで」
「きゃあっ!!」
有希はいきなりポケットから鋭利のような気がするナイフを出し襲いかかってきた。え、は?何?どうして?

「SOS団、文芸部の邪魔」

いや、この部室をくれたのはその部員のアンタじゃないの!
「私は"本を読めるなら"と言った。でも最近読めてない。邪魔」
あぁそういや最近野球やら映画撮影やらに刈りだしっぱなしだったっけ…?でも殺すことないじゃない。
「あなたは何を言っても聞く耳を持たない、だから」
必死に逃げる私を淡々と言って無表情で迫ってくる。
「文芸部を守るには、あなたを殺すしかない」
更には自分の頬を少し裂いて見せ、ナイフを舐めてみせた。当たり前だけど頬から血が出てる。ドラマの殺人犯みたいだわっ!…って興奮してる場合じゃないのよ。と思っているといつしか逃げ場を失っていたわ。
「もうあなたには逃げ場は無い」
「ちょ、ちょっと待ってよ!有希の言う事なんでも聞くわ!だから止めて…!」
これまた私もドラマで殺される直前のケチでゴーツクな社長のようなセリフを。

…でもそんな叫びも虚しく有希は
「言いたいのはそれだけ?じゃあ、さよなら」

ドスッ

ナイフが胸に刺さった。辺りには鮮血が…

…あれ、舞ってない。ナイフも刺さってないわね?あれ?

 

「…なんてね」
うっすら微笑を浮かべ頬の血のりを剥し、おもちゃのナイフの先を引っ込めた。…っていうか今時そんなの売ってるのかしら。
もぉぉ!!本当に殺されるかと思ったじゃない!!普段無表情すぎて有希の冗談は冗談なのか本気なのかわからないわ。でも今の演技は凄く上手かったわね。よし、冬休みにはもう1回今度は有希主演で映画を作るわよ!!…って今ちょっと有希笑った?私は冷静になり有希の微笑を思い起こしてみた。

めちゃめちゃ可愛いじゃない!!写真に撮るのを忘れてたわ!!
「ねぇちょっと有希ぃっ!!」
「何?」
「もう一回笑ってよ」
「…」
少々の沈黙の後、有希はもう一度微笑ながら笑ってくれた。もう可愛いぃ!!!
「もうゆきぃぃぃぃ〜〜!!!」
気付けば私は有希を抱きしめて頬をすり合わせていたらしい。今ドアの前に呆然と立っている人物に気付かずに…。

「…ハルヒ、お前」
「ぁっ…キョン?…」

鞄が落ちる音がした後また少々の沈黙が続いた。そして
「ハルヒ、今まで色々すまなかった!邪魔したなっ」
「違う、違うんだって!!」
私は慌てて部屋を逃げ出したキョンを取り押さえた。誤解よ!
「誤解?」
「そ、そうよ、誤解よぉ!」
「じゃあ何で長門とハルヒが抱き合ってるなんて画が成立するんだよ」
「そうよ、キョン、聞いてよ!今有希がね!…」

そう、有希が今…
「長門がどうした?」

…いや、何でもないわよ。
「?どうしたんだ?」
かえって自爆したような気がしたけど
「彼女は言うとおり。特に変な事は何もやってない」
有希がフォローしてくれた。キョンも有希のいう事を信じて「まぁ長門のいう事だから本当か」みたいなリアクションで自分の席に着いた。ちょっとこのキョンが気に入らなかったけど、誤解がとけてとりあえずよかった。

やっぱり何も言わないでおこう。有希の笑顔は私だけの秘密なんだから。

Fin


あとがき

久しぶりの小説を書かせていただきました。ただハル長で書きたい!という勢いで書きましたw(最後の方はややハルキョン入りましたが…)ハッキリ言うと、後半が書きたいがために作りましたwでも、管理人自身は王道のハルキョン推しですから!!残念!

これからも気まぐれですが二次創作がんばっていきます。

…そういえば、長門ってハルヒに面と向かって喋ったとこ見た事ないからなんて呼んでるのかわからん…。