嵐 SINGLE COLLECTION

大野智、相葉雅紀、櫻井翔、二宮和也、松本潤の5人組で、SMAP、TOKIO、V6、KinKi Kidsに続く90年代ジャニーズ最終手としてデビューした嵐。ポップ+櫻井の本格的ラップ(通称サクラップ)要素と言った嵐独特の個性を持ちつつもSMAP、TOKIOを筆頭に先輩勢が衰えずインパクトでは後輩勢のNEWSやKAT-TUN等には勝てずデビュー8年でなんとも微妙なポジションについてしまった彼らだが、その独特の楽曲性はジャニーズ中でもピカイチの完成度。今年になってからはメディア露出も増えここにきてブレイクに乗せて来た。今回はそんな嵐のシングルを振り返る。

1stシングル A・RA・SHI
99年11月3日発売
V6に続きバレータイアップのデビュー曲。半分以上ラップという異色の構成(この頃はサクラップスタイルは見られず外部提供の初期V6のようなアイドルラップ)。デビューの2ヵ月前にハワイの豪華客船にてデビュー記者会見、そしてバレータイアップという派手な宣伝が行われデビューにしていきなり初動56万、累計にしてミリオン手前97万を売上げた。大ヒット。現在においても嵐のシングルではダントツNo.1ヒットだが知名度的にもこの曲が一番高いと思われる。なんともジャニーズ王道のキャッチーなメロディーはインパクト大。そして更にそのインパクトを上回ったのは99年10月のMステ初出演。上半身シースルーの雨合羽のような衣装でこの曲を歌う姿は色々な意味で凄かった。ジャニーズのバンドを起用して間奏とラストサビがCD版よりロックっぽくなってたのがよかったが。因みに、これ以降は90万は勿論50万を超えたシングルが存在しない。
★★★★☆

C/W 明日に向かって
初期嵐のC/Wは全てベスト盤に収録されているがどれも耳に残る曲ばかりで悪くないが、C/Wにもなるとラップの欠片もなく全編ユニゾン。軽めのユーロビート調で完全打ち込みというアイドル全開サウンド。今でもジャニーズJr.が歌ってそうな曲だけどサビは結構好き。
★★★☆☆


2ndシングル SUNRISE日本/HORIZON
00年4月5日発売
「サンライ〜ズ日本〜♪」のサビはデビュー曲並にインパクトを与えたものの、この時点で初動30万から累計40万と初動集中というアイドル典型になってしまった。それでもこの数字は07年の「Love so sweet」に抜かれるまで2番手ヒットだった。インパクトは強いものの両方ともあんまり好きじゃない。
★★★☆☆
★★☆☆☆


3rdシングル 台風ジェネレーション
00年7月12日発売
なんか非常にハイセンスなタイトルだがミディアムテンポでメロディアスな曲。冒頭の二宮のセリフといいゆったりめのラップといい超90'sアイドル全開曲。2番からはテンポアップするのは面白かったが、正直ベストを聴くまでタイトルすら知らなかった。因みに、この曲で初動25万を出しながらB'zと安室奈美恵に阻まれ3位になってしまった。
★★☆☆☆

C/W 明日に向かって吠えろ
デビュー曲のC/Wに「吠えろ」を付け足しただけの手抜き感全開のタイトル。爽やか路線でわりかしいいんだけどそこまで好きになれない。
★★★☆☆


4thシングル 感謝カンゲキ雨嵐
00年11月8日発売
二宮が出演したドラマ「涙をふいて」OP(主演は江口洋介で、主題歌にはゆずの「飛べない鳥」が起用されていた)。なんとも微妙なタイアップだったが、この曲も初動25万を出しながらMISIA「Everything」の3週目に惜しくも破れ2位に。タイトル自体は当時結構流行っていたので知っていたものの曲はベストを聴くまで知らなかった。前作とは違った感じのメロディアス路線で、櫻井のラップもまだアイドルラップなもののカッコいい。
★★★★☆

C/W OK! ALL RIGHT! いい恋をしよう
中期SMAPのようなポップ曲。というか聴いててもSMAPにしか聴こえなかった。
★★☆☆☆


5thシングル 君のために僕がいる
01年4月18日発売
爽やかポップ。サビは耳に残るし悪くないがあまりに唐突すぎるアイドルポップさで、やけにラップの影も薄いしそこまで印象に残らなかった。
★★☆☆☆

C/W はなさない!
相変わらず初期C/Wは安定していていい。「離さない!離さない!」のサビはキャッチーで耳に残るし他も良メロ。ラップがないとはいえ今回のA面よりは好き。
★★★★☆


6thシングル 時代
01年8月1日発売
マツジュン主演ドラマ「金田一少年の事件簿」主題歌。いつもより好調で少々ロングヒットして再び40万近くまで伸ばした。曲は今までに無いハードロック路線でAメロ全体がラップといった感じの新境地。これまでのアイドルポップ連発に比べたらだいぶインパクトに残るし初期中では一番好きな曲に。ドラマも個人的には結構よかったのだが世間的な印象としては前の堂本剛版の方が圧倒的に上で、ファンから見ても内藤剛志版の剣持警部は好評だったものの美雪の役が当時中学生だった鈴木杏でギャーギャーわめいているうるさい小娘に設定が変わり、長谷川潤の佐木に関しては眼鏡をかけないしビデオも回さない全くの別人でえらく不評だったとか。ていうか俺の歴代金田一ドラマ評価って亀梨>マツジュン>剛という感じで世間の評価と真逆のような気がする。また、ここでw-inds.を代表格に外部アイドルを売り出してきたポニーキャニオンから離脱。事務所から新たにレーベル「J-Storm」を立ち上げ移籍することになったが、移籍前シングルベストを移籍後レーベルJ-Stormからリリースするといった謎の事態が後に起きた。
★★★★★


7thシングル a Day in Our Life
02年2月6日発売
移籍第1弾。岡田准一主演ドラマ「木更津キャッツアイ」主題歌。一応櫻井がサブポジを占めていたとはいえ主演はV6岡田。V6ドラマの主題歌を嵐というのは意外だったがV6サイドも二宮主演ドラマ1作とマツジュン主演ドラマ2作に提供してたりもしていた。ドラマはまだ見ていないものの大ヒットを記録、2度の映画化を経て06年に完結した。そして主題歌のこちらは前作よりむしろ少し下向き(37万)だったがここからCD不況は加速、02年ジャニーズNo.1ヒットを記録するヒットに。曲もさながらインパクトが強かったので代表曲のような地位に。その曲の方はスケボーキング提供のヒップホップ。完全ラッパーとなった櫻井のラップと大野中心の歌メロが同時進行するというカッコいい仕上がり。櫻井のラップもアイドルの域から急に逸脱しサクラップに近い形へ進化。ラップもさながら歌メロの方も結構キャッチーで耳に残るしかなり好き。
★★★★★


8thシングル ナイスな心意気
02年4月17日発売
アニメ「こちら葛飾区亀有公園前派出所」ED。インパクトに残ったのは曲よりパフォーマンス。全員七三分けでサラリーマンスタイル、名義も「アラシ」とカタカナ表記。意味不明だったがこれはアニメ本編に出演した際のキャラクターらしい。なんでも顔だけ実写でくるみ割り人形の如く喋るという非常に気持ち悪い演出だったらしく、さすがに苦情が殺到したのか後にこのアニメに出演したテツandトモや天童よしみ等は全部アニメ絵になっていた。曲はなんてことのないアイドルポップで当時の最低売上24.0万枚を記録してしまった。王道ポップでカラオケでも歌いやすいしいい曲なのだがラップまで無いというのは…。今までの嵐といえば初期は全てのA面に唐突にでもラップを入れていて前作で究極形を極めたと思ったのにここにきて何故?これ以降はラップの無い曲が徐々に増え始めるのだが…。
★★★☆☆


9thシングル PIKA☆NCHI
02年10月17日発売
嵐全員で主演した同名映画の主題歌。映画自体は名前こそそこそこ知名度はあるものの見たのはせいぜいファンオンリーといったところであまり評判は聞かない。アイドルポップに向かったと思えばまたまたラップをA面全部に押し出したミクスチャーロック。「時代」は超えている勢い。少々楽器群がガンガン響くものの、Aメロの声を完全に潰したサクラップはかなりのインパクト。やっぱりラップがあったほうがいい。また、Mステ等では二宮が自らロックギターを持って出演しており、なんだかかっこよかった。
★★★☆☆


10thシングル とまどいながら
03年2月13日発売
櫻井主演ドラマ「よい子の味方」主題歌。初動10万ながらRUIに抜かれ2位に。今回はミディアムテンポのバラードでラップ無し。櫻井メインタイアップなのにサクラップがないという…。曲の良し悪しはともかくこれならSMAPでもV6でも十分いいような感じであまりらしくない曲だった。
★★☆☆☆

C/W 冬のニオイ
この曲は第2弾ベストに収録されていたので知っている。例の如くラップは無いがアーティスト性を全面に押し出したバラードでかっこいい。シングルA面の今作のようなラップの無い面白みに欠けた曲よりはずっと印象に残った。
★★★☆☆


11thシングル ハダシの未来/言葉よりも大切なもの
03年9月3日発売
コカコーラのCMソングと二宮主演ドラマ「Stand Up!!」主題歌の両A面。ここでも初動14万を出しながら福山雅治「虹」の2週目に破れ2位になってしまったが割かし好評で久々に20万台まで伸ばした。「ハダシの未来」は夏らしいギターサウンドポップ。ラップは無いもののキャッチーさは十分だしこれぐらいならまぁいいか。そして「言葉よりも大切なもの」は更に爽やか。PVでも山下智久が出演していたりドラマに忠実な曲だったらしきもののドラマ自体は1話でドロップアウトしてしまったのでわからない。因みに、ここから櫻井がラップ詞を自作するようになり、サクラップもグレードアップ。
★★★★☆
★★★☆☆


12thシングル PIKA★★NCHI DOUBLE
04年2月18日発売
同名映画主題歌。好評だったのか続編が作られた。映画の方はもはや全く知らないが曲は疾走感溢れる明る切な系の青春ポップでかなりいい。メロディーと歌詞は当然、サクラップや大サビ前のメンバー全員のソロパートつなぎもいい感じで凄く好きなものの累計13.6万で嵐史上最低売上 というのは非常に勿体無い。
★★★★★


13thシングル 瞳の中のGalaxy/Hero
04年8月18日発売
両方ともサクラップのない曲だが、ドラマ主題歌とアテネ五輪のタイアップがつき「a Day in Our Life」以来の25万越えを果たした。24時間テレビのパーソナリティーも担当しメンバーのキャラが定まってきたのもこの頃で、ここにきて嵐の基盤が固まってきたという気もする。また、ここまで第2弾ベストに収録。

瞳の中のGalaxy
二宮主演ドラマ「南くんの恋人」主題歌で藤井フミヤが作詞作曲のバラード。ここまでバラードな曲は初めてだが、藤井フミヤらしいミディアムテンポな曲調。サクラップがない曲の中でも中々いい部類だと思う。MステやPVでは二宮が自らギターを抱えて出演。歌唱ではセンタード真ん中に位置していた。演技面ではメンバー中最も評価されているものの歌でメインに出たのはこれが初めてだった。その二宮の趣味は作曲というが、その才能が発揮されるのは少し後になってから。
★★★★☆

Hero
アテネ五輪テーマソング。そしてこの年パーソナリティを努めた24時間テレビでもテーマソング的ポジションで結構歌われた。確かに24時間テレビらしい親しみやすい応援ソングだがラップがないのでやはりらしさは感じられない。普遍的な名曲。
★★★★☆


14thシングル サクラ咲ケ
05年3月23日発売
予備校CMタイアップの応援ソング。エレキギター中心の爽快なバンドサウンドが特徴的で雑誌とかの「春うたランキング」ではよく上位に入る曲で、ここから結構楽曲の知名度は上昇したんじゃないかと思う。耳に残る良メロでサクラップも復活し、嵐らしさという点は十分発揮されている名曲。
★★★★★


15thシングル WISH
05年11月16日発売
マツジュン主演ドラマ「花より男子」主題歌。今となっては続編、映画化決定と大ヒット作となってしまったが、最初こそ急遽決まったような雰囲気でヒットの期待も全くなかったが、ドラマは予想外の大ヒットを記録。主題歌の今作もまさかの「a Day in Our Life」以来の30万越えを記録するまでに至った。一応代表ヒット候補にもあたる曲なものの曲自体はラップ無しで全パートユニゾンのごく普通のアイドルポップ。クリスマスっぽくていい曲なんだけども(実際ここ最近まで好きな曲1位に挙げていた)嵐としてはイマイチつまらない。ここ最近のラップ無し曲はキャッチーさと声の個性でカバーしていたのだが…。
★★★☆☆


16thシングル きっと大丈夫
06年5月17日発売
SOUL'd OUTのメンバーが作曲編曲。「ラキラキベイブ〜♪」が印象的なサビで通常よりは浸透した。SOUL'd OUTは元々本格派というよりはポップ寄りな楽曲が多かっただけあって、違和感なくジャニーズらしい王道ポップ。そしてその中にサクラップが絡んでいうという絶妙な仕上がり。「a Day in Our Life」に続きサクラップが随所に目立った曲で、最近の中では嵐らしさが一番出ている曲だと思う。やはりSMAPが終息すれば嵐の時代が来ていたのか?
★★★★★

C/W 春風スニーカー
8×4CMソング。王道ポップ。サビの「ドコイク?ナニスル?」がそのままCMのフレーズに使われていてインパクトはあったのだが両A面じゃなかった。まぁ…普通にいい。
★★★☆☆


17thシングル アオゾラペダル
06年8月2日発売
櫻井主演映画「ハチミツとクローバー」エンディング曲でスガシカオが作詞作曲。というのもこの原作者がスピッツとスガシカオの大ファンで(原作タイトルも両名の曲名からつけたほど)、映画の主題歌自体はスピッツ「魔法のコトバ」。そしてEDがスガシカオ提供の嵐ということに。というより映画にEDなどいらなかった(見てみたが主題歌もラストでしか殆ど使われずこの曲はスタッフロールの時間稼ぎ的扱い)が、そこは色々事情があったんだとか。歌詞はちゃんと映画に忠実な作りで、メロディーも切なくていい。サクラップは無いがその代わりにラストサビで櫻井のソロパートが少し長めに。これは結構貴重。とはいえ、今作は何故か借りなかった。
★★★★☆

C/W Kissからはじめよう
前作に続き8×4のCMタイアップで結構聴いていた。そこまで覚えていないが普通にいいという印象だった。
★★☆☆☆


18thシングル Love so sweet
07年2月21日発売
マツジュン主演「花より男子2」主題歌。今回は放送前からヒットの期待大で、主題歌の今作も問題なく大ヒットした。実際「SUNRISE日本」以来の40万越え、ここに来て2番手ヒットを記録している。確かに悪くなくいいアイドルポップなのだが、やはりサクラップが完全に無くなってるのがねぇ…。毎年思うのはいつも個性を押し出した曲よりアイドルポップ路線の曲の方が売れる(06年は珍しく売れたが、05年は「WISH」、04年は「Hero」、03年は「ハダシの未来」、そして今回代表作ヒットに)ということである。
★★★☆☆

C/W ファイトソング
メンバー全員で作詞を手掛け二宮が作曲という初の自作曲。応援歌らしい勢いのある曲で、C/Wでたまにこういう名曲が出てくるから嵐は見逃せない。自作でここまで出せるのならいつかはA面で出てきてほしい。
★★★★☆


19thシングル We can make it!
07年5月2日発売
マツジュン主演ドラマ「バンビ〜ノ!」主題歌。ドラマは初回リタイア(最終回だけは見た)であまり印象が無い。一応サクラップが復活したが、妙に声が初期寄りで短いような気がする。とはいえ、久々のラップ復活。キャッチーさも復活し前作よりは聞き込んだ印象はある。
★★★★☆

C/W Di-Li-Li、Future
今までのC/Wってラップは無いながらも耳に残る隠れた名曲が多かったが、ここにきてサクラップ全開。A面にしてもおかしくないようなレベルに。王道すぎてC/Wとしては逆に面白みに欠けるというのも事実だが、ここであえてらしさを出したようなA面のような曲を持ってきたのかも。そういう点では新鮮。
★★★☆☆
★★★☆☆


20thシングル Happiness
07年9月5日発売
二宮、櫻井が主演したドラマ「山田太郎ものがたり」主題歌。07年の嵐は実に充実な活動ぶりだった。3作連続主演ドラマ主題歌で更に年内3枚リリースが02年以来という。もっと言えばその全部が20万を超えたのも01年ぶりだという。とにかくこの07年は嵐にとって大躍進な年となった。今作はその大躍進ぶりを表すかのようなとにかくテンションが高い曲。サクラップは無いがこのテンションの高さはとにかく爽快で気持ちいい。サビでの振り付けも印象的だがドラマのOPでこの曲に合わせながらの出演者全員によるキラキラエアギター映像はドラマよりやけに気合が入っておりかなりのインパクトだった。サクラップ無しの曲の中では最高峰。期間的には前2曲よりは長く聴いたと思う。
★★★★★

C/W Still...
今回は何の変哲も無しにアイドルポップ。一応ラップはあるがやはり初期寄り声。もうこの路線で行くつもりなのだろうか…?
★★★☆☆